Jun潤

映画 おそ松さんのJun潤のレビュー・感想・評価

映画 おそ松さん(2022年製作の映画)
3.3
2022.03.31

英勉監督作品。
今作ほど期待より不安が大きい作品があったでしょうか…。
漫画アニメの実写邦画は数あれど、今回よりにもよっておそ松さん、しかも主演は2020年にデビューしたばかりのSnowMan。
こんな食い合わせアリなんだろうか。
おそ松“さん”の方はそのパロネタ下ネタ満載っぷりで数々の問題行動(褒め)をして確かなファン層を掴み、SnowManの方は現在絶賛売り出し中でこちらも熱烈なファン層を獲得しつつあるジャニーズアイドルグループ。
あまりの衝撃的な組み合わせにTwitter上ではそれぞれのファンが互いに心配し合う珍事まで発生。
しかし個人的には原作アニメのあのクセ強めなコメディを、映像作品の経験がまだ浅めなSnowManで表現できるのかという不安がだいぶありましたが、いやいやそこは『ぐらんぶる』『前田建設ファンタジー営業部』『東京リベンジャーズ』の実績がある英監督、きっとなんとかしてくれるはず!
…と、溢れる不安をなんとか抑え、半ば怖いもの見たさで今回鑑賞です。
『大怪獣のあとしまつ』の時と違い、ジャニーズファンからの酷評コメントが僕の耳まで届いてこなかったのは唯一の救いですね。

クズで童貞のクソニートな六つ子が実写の世界でも大暴れ!
でもだんだん話の流れがおかしくなってきて…。
物語を終わらせるべく終わらせ師3人組が立ち上がる。

いや〜?悪…くはなかったんじゃないですか?

やっぱり一番は邦画と、一部洋画のパロディや自虐ネタですかね。
邦画好きが普段ネタにしそうなものをちゃんと映像でお出ししてくれたのは好印象でした。
イヤミちび太トト子ちゃんのツッコミや、実写邦画のネタ切れにアイドル起用、イロモノ俳優に言及していたとこも笑えました。
あとは監督の過去作『映像研には手を出すな!』や『賭ケグルイ』のセルフパロディもいや自分でやるんかーいて感じでしたね。

終わらせ師が出てきてからも、ちょっと今作自体迷走してきたところで映画あるあるを詰め込んできたのも個人的には良かったです。
『カイジ』『ライアーゲーム』『バトルロワイヤル』、『Mr.&Mrs. スミス』『七人の侍』、あとラブコメ部分は『君の膵臓をたべたい』みたいな月川翔フィルターですかね?

しかしもう半分くらいがなぁ…。
今作のネタが切れたのかグダグダしていました、それすらも邦画オマージュだったとしたら面白いんですけどね。
オムニバス形式だったらまだ見やすかったものの、キャラの配分や展開が飛び飛びだったりツッコミ一時不在の時間が長く中弛みしていました。

キャラクターについても、アニメ版の方でしっかりキャラ付けされていて、SnowManの面々もセリフと表情は未熟でしたが、立ち居振る舞いや雰囲気は掴めていたと思います。
一番は十四松、あとはおそ松と前半の一松もアニメに近かったです。
ただ、アニメでのキャラ付けを前提にしていたので、今作なりのキャラ付け、今作で初めておそ松さんに触れた人は置いてけぼりを喰らうのかな?なんて思ったり。

あとは上述の扱うネタ的にもおそ松とSnowManである必要があったのか、それこそ映画制作現場を舞台にしたパロディストーリーとかでも良かった気がします。
まぁ、それだと予算が降りないからこそのおそ松さんとSnowManな気もしますが。

本当に終わらせ師が必要だったのは今作の脚本家だったんじゃないですかねぇ…。
英監督が脚本も担当するというイメージはなかったので、まさかあの監督がこんな脚本書かないよなぁ…と心配でしたが、幸い杞憂だったようで、映画脚本初挑戦の方だったみたいです。
もう少し構成のまとめ力が欲しかったところ。

さすがにシコ松は引っかかってしまった…。
今作は映画館で黙って観るよりも、SnowMan好きやおそ松さん好き、邦画好きが家に集まって騒いだりツッコんだりあるある〜て騒ぎながら見る方がマッチしてる気がします。

どんなクソ映画もまずは観てから…。
Jun潤

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