アキラナウェイ

ウエスト・エンド殺人事件のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

ウエスト・エンド殺人事件(2022年製作の映画)
3.4
日本では劇場公開されず、ひっそりとDisney+にて配信されていたので鑑賞。配信してすぐの時は邦題も付いていなかった。

"ミステリーの女王"と呼ばれるアガサ・クリスティの戯曲「ねずみとり(Mousetrap)」のパロディ。

1953年、ロンドンのウエスト・エンド。「ねずみとり」の100回目の上演記念パーティーにて事件は起きた。ハリウッドから赤狩りを逃れて来た監督のレオ・コペルニク(エイドリアン・ブロディ)が何者かによって殺されてしまう—— 。

事件の捜査を担当するのは、やる気に欠けたストッパード警部(サム・ロックウェル)とやる気満々の新人巡査のストーカー(シアーシャ・ローナン)。

サム・ロックウェルは少し風格がついた印象。警部役へのハマりっぷりは流石。お喋りで、やる気が空回り気味の新人巡査を演じたシアーシャ・ローナンがキュート。

凸凹コンビが織りなす会話の応酬が小気味良い。

ステージ中央のソファにレオの死体。そこに集められた舞台関係者達。"いかにも"な古典的ミステリー的演出。いや、本来ならここで警部の名推理が冴え渡り、「犯人はあなただ!!」ビシィィィ!!っと指差すみたいな展開になるのがお約束だが、やる気のないストッパード警部は全員を帰してしまう。

メモを片手に質問ばかりしてくるストーカーを鬱陶しく感じた警部は、「歯医者に行く」と嘘をついてPUBに飲みに行く気の抜けよう。コメディ要素を含んだゆるい空気感が特徴的。

お!名前の発音が激ムズのデヴィッド・オイェロウォも出ているゾ。

本格ミステリーというには小粒な印象で、劇中の伏線で事件の結末が何となく読めてしまうのも些か残念。

とはいえ、二画面で映す演出やバックに流れるジャズ音楽は素敵だったりとセンスは良い。

ミステリー好きな方は、カウチポテトムービーだと割り切っての鑑賞がおススメ。