矢吹健を称える会

女神の継承の矢吹健を称える会のレビュー・感想・評価

女神の継承(2021年製作の映画)
2.7
 予想以上に『呪詛』と共通点が多かった。特に、画面に映る映像が「劇中の登場人物が撮影した映像」であるという、作品の核をなす設定においてはほぼ同じと言えるだろう。そうするとこちら側の文句もほぼ同じで、馬鹿のひとつ覚えみたいだけれど、やっぱり、どうしても、「なに撮ってんねん」と思ってしまう(『NOPE/ノープ』はそのあたり、撮影者が異常者であるというニクい設定にしてましたね)。
 あと、ラストの儀式シーンとか、「誰も入れないように!」つって境界作ったくせに撮影クルーは同席していいのかよ、と突っ込んでしまった。

 中盤は祈祷したり失敗したりでかなり微妙な時間が流れるものの、終盤になるといよいよナリルヤ・グルモンコルペチ(可憐!)の奇行がエスカレートしてくる。
 ここでグッと観客の心を掴んでやろうっていう作り手の、なんていうんですか、やってやんぞっていう心意気ね。それはわかるんだけど、なぜ描写を小出しにするのだろう。メイン・イベントとなる「儀式」の6日前から、ちょっとずつ奇行が悪化していくのだが、最初はテーブルでおしっこするとか、冷蔵庫から肉出して食べるとかから始まって、3日前くらいにはもう人に危害を与えるレベルまで到達する……のに、登場人物がその対策をほぼ講じないのが理解できない。拘束するとか引っ越すとか、いろいろできるんじゃないのか。ナリルヤ・グルモンコルペチも、なんか白目むいたり笑ったり首ひねったりして、かなり馬鹿々々しく見える。
 まあ何が言いたいかというと、ここで隠しカメラを設置することの(作り手側の)作為があからさますぎて嫌だなと思うのです。

 気に入った点は、犬煮と、カメラを奪われたカメラマンの、はらわたが出ていたシーン。犬煮はきつい。