本当にド根性の“野心作”。
所々で予算が足りないのか、はたまた作り手の技量の問題か、ホンジンパイセンの『哭声 コクソン』なんかと比べると、ショットが緩くなる部分がやや多くノイズにはなってしまったし、終盤の怒涛の畳み掛けよりも前半部分の抑制の効いた不吉な感じが良かったなぁ~などと思うところはなくはないものの、主人公ミンを演じる美しいナリルヤ・グルモンコルペチさんの文字通りの怪演、その狂い咲きサンダーロードぶり(※ある意味、東南アジア系で言うならエブエブのミシェル・ヨーより主演女優賞級!)や、全編に一貫して貫かれている何がなんでも禍々しいものを捉えんとばかりの土着的な画のつるべ打ちには観ていて本当に血が滾るものがありました。
とはいえ、“これが真のエクソシストだ!”とか言ってさらっとド名作『エクソシスト3』を撮ってしまうウィリアム・ピーター・ブラッティとか、長編デビューでいきなり『チェイサー』を撮ってしまうナ・ホンジンや、『ヘレディタリー/継承』を撮ってしまうアリ・アスター(※短編時代はもっとヤバい!)なんかは、やはり“才人”なのだなとも思った。
P.S.
アピチャッポン・ウィーラセタクン『ブンミおじさんの森』が、如何にタイ映画において、1つの指針になっているかというのも見て取れたりもする。