WAR太

女神の継承のWAR太のレビュー・感想・評価

女神の継承(2021年製作の映画)
3.8
モキュメンタリー方式で描かれる「信仰」と「狂気」
信仰心は救いになるのか。

タイのホラー映画を見るのは初めてでしたが宗教や信仰に厚いタイならではの設定とモキュメンタリー方式で描かれる田舎の土着信仰の気持ち悪さがとても良いホラーとなっていました。
パヤンと呼ばれる神に代々仕える巫女を取材するという設定ですがその巫女の周りで起きる怪奇現象と呪われてしまった巫女の姉娘が結末まで非常にキリキリと臓器をねじってくるような演出の中描かれています。

最初こそ少し薄気味悪い映像くらいだったのが段々と呪いに蝕まれていくに従ってグロ的な嫌悪感だけでなく生理的な嫌悪感も見ていて生まれるのがアジアホラーって感じでした。
自分自身タイには一回行った事ありますが寺院が滅茶苦茶多くて今回の映画で映っていた像や儀式装置が実際にあるものなのではと思えちゃうくらいリアリティがあったのも良かったですね。

同時期にやっていた哭悲や呪詛の方が話題になっていてイマイチ日本でヒットしきれなかった印象ですが個人的には呪詛より好きですね。
アジアホラーの生活の中にある嫌悪感みたいなのがはっきりしています。
霊とかモンスターじゃなくて痛めつけられる動物とかまともだった人がおかしくなっていく感じとか。とにかく「嫌悪感」なんですよね。

また一番好きなのがラストの巫女のセリフですかね。
どんでん返しとも違うんですが「えぇえぇ?」って結構驚きの結末でした。
なるほど・・と思いつつも救いのない感じ。

信仰とは唯一の救いであってそれが揺らぐと・・

日本人としてあまり一つの宗教に厚い信仰心というのはありませんがタイの方とか一つの宗教を信仰している方はかなり刺さる映画だと思います。
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