青山

女神の継承の青山のレビュー・感想・評価

女神の継承(2021年製作の映画)
3.9

タイのとある村で女神バヤンの巫女の役目を代々受け継いできた祈祷師の一族。
現在巫女であるニムはドキュメンタリーの密着取材を受けているが、そんな折、ニムの姉の娘であるミンが奇妙な言動を取るようになる。ミンが女神バヤンに選ばれ憑依されたと考えたニムは代替わりを考えるが、ミンに憑依していたのはより邪悪なもので......。


『コクソン』のナ・ホンジン監督が制作に名を連ねるタイ産モキュメンタリーホラー。

冒頭で祈祷師のニムへのインタビューがあるんですが、彼女がプロの祈祷師としての誇りや貫禄を持ちつつも祈祷師と聞いてイメージするエキセントリックな感じとかがなく、家族との関係や巫女になるという選択に多少の蟠りも抱える普通のおばちゃんであることに好感を抱きました。
そこから、ニムの姪っ子のミンの様子がおかしくなっていくという本筋の話に入っていくんですが、このミンがとんでもなく美人だったので演じているナリルヤさんのInstagramをフォローしてしまいました。しかしそんな美女だからこそ憑依されておかしくなっていく様がより怖かったし、NGなしの体張った演技で特に最後の方なんか半分動物みたいな動きになっていって恐れ入りました。この美貌と快演のギャップに一発でファンになってしまった。

そんでストーリーは序盤は祈祷師の生活を追うドキュメンタリーから始まって徐々に『エクソシスト』みたいになっていきつつ、アジアらしいジメジメした怖さを出していって、しかし終盤は最近のアメリカのジェットコースターホラーみたいなスピード感も出てきつつどんどん絶望的なことが起きて「えー!?えー!?」と言わされっぱなしで、超面白かった!
また、そんないろんなホラーの要素を詰め込んだ楽しさとは別に祈祷師のニムと、彼女に祈祷師になることを押し付けた姉のミンとの関係性とかも印象的だった。
ただ、モキュメンタリーの性質上常にカメラを回してなきゃいけないんだけど、家族のプライベートなこととかにめっちゃ踏み込んでて「こんなん撮影許可せんやろ......」みたいなとことか、カメラマンがそこにいるはずなのに命の危険がある中で何の手伝いもしないのに「この役立たずが!」と思ってしまったりとツッコミどころになってしまっている感もあるのが難しいところ。とはいえ序盤は特にモキュメンタリーだからこその肌に触れるような近い距離感が大きな魅力でもあるので......。
まぁあと儀式のシーンはめちゃ良かったんだけどちょっとコクソンっぽくてやっぱそんな感じなんだーと思っちゃったかな。

とはいえまぁ全体にバチクソ面白くて怖いホラー映画で、モキュメンタリー系のホラーとしてはトップクラスに好きな作品になりました。
青山

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