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THE FIRST SLAM DUNKのtakatoのネタバレレビュー・内容・結末

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

 ある程度内容について情報を入れてから見たのですが不安的中でした…。といっても問題は、声優でもなくCGでもなく、一本で山王戦を全部やりオリジナル回想も入れて2時間で収めるという構成の無理が全てだったと思います(桜木は草尾さんのままが良かったけど)。


 井上先生としては、タローマンじゃないけど「同じことを繰り返すなら死んでしまえ」精神で新しいことに挑戦しないとモチベーションが上がらなかったし、やる意味を見いだせなかったのかもしれませんが今回は作品に奉仕してくれる監督に任せた方が良かったかなぁ…。スピーディーでリアルタイムにどんどん動くバスケットを表現したかったのだろうが、そのせいでとにかく溜め+積み重ねがない…。


 溜めがないから名場面がダイジェスト的にサラサラ流れて、漫画を見た時の震えるような興奮も感動もどうしても薄まってしまう。最高な敵キャラの山王の面々もこれだけ見たらあんまり印象に残らないんじゃないかな?。


 昔のアニメは古い作品だったから引き伸ばし問題があったが、基本的に漫画の語り口だったからあちらの方が正直良かった。やはり物語は、薄っすらとしたあらすじじゃなくて、それをどう効果的に語るかの方が重要であって、スラムダンクという作品は正に省略と溜め、時間をスローにしたりハイスピードにしたり変化させられる、漫画という表現形式の最高傑作だったのであってその部分を放擲しちゃったらなぁ…。


 更にオリジナル回想がかなりの尺を取っちゃってるから益々ダイジェスト感が増し、スピーディーなバスケの部分も寸断されてしまって興に乗りづらい…。そもそもリョーちんのキャラに「〜にも悲しき過去…」的なベタな泣ける過去を新たに接ぎ木するのはどうなの?。なにより、このエピソードが正直あんまり…。沢北とリョーちんの間に殆どなんもないからラストも唐突感がどうにも。綾子さんとの繋がりの強化とか、神奈川NO1ガードを目指して牧、藤真、仙道といった連中を訪ねて自分の足りないものを見出すとか、リョーちんらしい明るいエピソードのが良かったんじゃ?。


 スラムダンクの山王戦は、満漢全席な奇跡のごときは原作なんだからそれこそそんなにいじらずに、例えるなら「この世界の片隅に」を監督した片淵さんのような方に映像化してもらった方が良かったんじゃないかなぁ…。近年のジャンプスポーツ漫画のアニメ化成功例なら「ハイキュー」という傑作があるし。


オリジナルなエピソード足すなら、それこそ三部作とかたっぷり時間を使える構成にしなきゃ無茶だったのではなかろうか?。例えば、試合を三分割して今回はリョーちんにフォーカスしたオリジナルエピソードを頭に15分くらい、次回は赤木とミッチーにフォーカスして、最後に桜木と流川みたいな感じのが良かったような。


 それにしても、最大の謎はタイトルの「 first」。何本かやるんじゃないの?。
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