メザシのユージ

アステロイド・シティのメザシのユージのレビュー・感想・評価

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)
5.0
パステルトーンの色彩、横に移動するカメラ、無表情で語る登場人物たち、いつものウェスアンダーソンらしい映像なのだけど、これまでの中で一番好きかも。セットのような空だけど、今回はスペインで撮影したそう。

あるテレビ番組の制作舞台裏を描くそ番組のお芝居といった入れ子構造で物語としては、分かりやすいものでは無い。

でもなぜかずっと飽きずに観ていられる。妻の死に傷ついている主人公が「時が傷を癒すなんて嘘だ、せいぜい絆創膏ぐらいなものだ」という。そんな彼が共演するはずだった妻役の俳優と語るシーンが印象的。亡くなった妻が語る言葉で少し前向きになる。

1950年代のアメリカ、原爆実験を繰り返し冷戦間近。これからイヤな時代になっていく、軍人は子供たちに生まれる時代を間違えたというが、この世界を作り上げていくのはこの子供たちなのだ。