風の旅人

余命10年の風の旅人のレビュー・感想・評価

余命10年(2022年製作の映画)
4.0
10年という歳月は短くもあり長くもある。
中学生の時に埋めたタイムカプセルに入っていた未来の自分へ宛てた手紙は、現在の自分の姿とはかけ離れた内容だった。
10年後、自分はどこで何をしているのだろう?
「余命10年」と聞くと、御涙頂戴の難病ものかと思うが、悲劇一色に染まるのではなく、日常の尊さがきちんと描かれていた。
人生は長く生きられれば、幸せというわけではない。
真部和人(坂口健太郎)と出会えた高林茉莉(小松菜奈)の人生は幸せだった。
原作ではアニヲタで漫画を描くのが好きだった茉莉が、ライターで小説を書いている設定に改変されているのは、明らかに作者の小坂流加の人生に重ね合わせてのことだ。
小坂流加が実際に和人のような人に出会えたかは知らない。
それは重要ではない。
小説や映画がフィクションであるなら、本作は小坂流加のありえたかもしれないifの物語だ。
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