マサミチ

余命10年のマサミチのレビュー・感想・評価

余命10年(2022年製作の映画)
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実はエンドクレジットの字幕で初めて実話である事を知ったのだが、そのモデルになった方の事を先に調べていたら冷静に客観的に作品を捉えられないし、それで点を甘くしたら逆に作り手に対して失礼に当たる。心を鬼にしてレビューを。

あの【ヤクザと家族】の藤井監督にしては作風がキレイ過ぎるし、もっと闘病生活の過酷さと周りの家族の試練をストレートに描き出してほしかった。

優柔不断で曖昧で頼りがいの無いキャラを演じたらピカイチの坂口健太郎に対して、病気を抱えている小松菜奈が逆に母性のような愛情を持ち始めてゆく流れは新鮮味があって面白いのだが、やはりお約束的な展開ばかりなのだなァ…。

桜並木を歩く2人に突風が吹き抜けて一瞬ハイスピード撮影で捉えた描写などは、まるでかつてのトレンディドラマぽくて、全体的にも映画的躍動感が薄い。

芯が強そうでいて脆い面を臆面なく見せる小松菜奈のお芝居は流石なのだが、好みの映画ではないかな。
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