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イノセンツのILLminoruvskyのレビュー・感想・評価

イノセンツ(2021年製作の映画)
4.0
原題『De uskyldige』(2021)

監督・脚本 : エスキル・フォクト
撮影 : シュトゥルラ・ブラント・グロブレン
編集 : イェンス・クリスチャン・フォドスタッド
音楽 : ペッシ・レバント
出演 : ラーケル・レノーラ・フレットゥム、アルバ・ブリンスモ・ラームスタ、他

ノルウェー郊外の住宅団地を舞台に、退屈な夏休みに不思議な力に目覚めた子どもたちの遊びが、次第に狂気へと変わっていく姿を、美しくも不穏に描いたサイキック・スリラー映画。

「無垢な子供の残酷性」映画。
そして、
新たな「子供たちの世界」映画の傑作。

かなり面白かったです。
「映画」としての完成度も非常に高いと思います。

大友克洋『童夢』、デヴィッド・クローネンバーグ『スキャナーズ』好きのボクには堪らない一作でした。
ちなみに派手で過剰演出な超常現象描写は皆無です。そして、ソレが本作の良さでもあると思います。

孤独で不気味で、時には無意識に残酷で暴力的な子供時代の世界が非常に上手く描けていて、少年少女達の、つながり、好奇心、残酷さ、暴力性を題材に、抑制の効いた静かながらジワジワハラハラドキドキさせてくれる緊張感が途切れない演出、子役達の素晴らしい演技、不穏で美しいスタイリッシュな撮影でスリラー映画として、傑作ではないでしょうか。
状況説明を映像だけで見せていく手際の良さ、ホント「映画」としての語り口が見事。

大人が介入せず、誰も知らないまま子供達の世界で物語を完結させている点も良いですね。
少ないセリフでしっかり映像で語る、かなり好きなタイプの「映画」。

オススメです。

大友克洋あるいはギレルモ・デル・トロが『童夢』を、もし実写映画化する場合には、本作が『童夢』のエッセンスを上手く汲み取った丁度良い規模の良作なので、ある種の基準となると思うので、コレを越える作品を期待したいところ。

あと、猫好きの方にはかなり不快になるシーンがあるので閲覧注意です。
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