しの田

イノセンツのしの田のレビュー・感想・評価

イノセンツ(2021年製作の映画)
2.0
 無邪気ゆえの残酷さ、媚びることを知らない子供の無表情はものすごく怖い。北欧ホラー特有の、違和感がもたらす気持ちの悪さを期待して観に行きました。

 はじめっから性悪クソガキ全開のイーダ! あっさりと当たり前みたいに登場するサイコキネシス! 「イット」みたいな、ホラーの隙間に入り込む友情☺️ 子どもや知的障がい者が純真無垢な天使ちゃん…みたいな考え方はあんまり好きじゃないので、彼らにも彼らなりの論理があり、知恵があり、世界がある、そういう雰囲気で良かった。
 ただ、各々の家庭環境が明らかになるにつれて不穏な気配が立ち込め、ついに正面衝突。こ、これは、超能力バトル?! こう……ただ拳を握って突っ立っているだけで、周りの土塊が浮き上がったり水面がなみだったりするのは、完全にバトルもの。白目むいちゃったらもうダメよ。なんか、手に汗握る展開になってしまったり、殺人鬼ホラーみたくなってしまったり、ちょっと思ってたんと違うとこもあった。アナお姉ちゃんスーパーヒーローみたい、助けて!!

 あと、ベンの行動原理がよく分からなくて、単なるモンスター化しているように思える。
 彼が戯れに脚を折った猫にしたように、衝動的に頭に大怪我を負わせた母を、楽にさせようと油をかける。それもうまくいかなくて余計苦しませるのだけれど……とにかく、彼は後先考えずに暴力を振るい、そうして失ったものを想って涙する。自分の残酷な行動によってもたらされる残酷な結果を受け入れられない。これは子供の無鉄砲な性質だ、というより、ベン特有のサイコ気質との葛藤という感じ。猫を殺した時イーダはドン引きだったし。
 そして、何故お友達を殺そうとするのかが分からない。遊びの中で馬鹿にされたから? 「幸福な家庭」がある彼らが妬ましかった? ふむ。

 ラストバトルをマンションのベランダから眺める子供たち、そうか、念じるだけで物を動かしたり、聞こえないものが聞こえたりする子供は、大勢いるのか。そうかもしれない。そして、決着がついたあと、興味がなくなったようにうちの中へ引っ込んでいく。ベンは独り。ぞっとする。

アイシャが可愛いもの好きな普通の女の子という感じで好き。ビーズいっぱい付けてた。
しの田

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