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イノセンツのyksijokiのレビュー・感想・評価

イノセンツ(2021年製作の映画)
4.2
子供の純朴な残酷性が際立った作品。独特の不安定さの上に緊張の糸が張られていて観ていて息ができなくなるような気持ちになる。サイコスリラーの要素とバトル漫画の要素といくつかの要素を組み合わせながら進んでいくストーリーと独特の空気感に引き込まれた。

陰鬱な週刊少年ジャンプじゃん!という感じでわけわかんない特殊能力とそれぞれの登場人物たちがバトりだす展開には驚いた。団地というコミュニティ特有のあのテイストや集合性みたいなものは現代社会の縮図のような気もしていてその辺を見ているとゾワゾワっとする感覚があった。

登場人物へのある種の偏見やヘイトが各々の中で積み重なっていて、おそらく観ている観客としてもそういう目で見てしまっているのだろう。そこを際立たせることで観終わった後のなんとも言えないモヤモヤっとした感覚と後味がして非常に感慨深かった。

子供達4人の演技が本当に自然で、ドキュメンタリーを観ているような気持ちにもなった。あとはテーマと温度感がセリーヌシアマのTomboyに似ているような気もした。

寓話テイストがありつつも非常に現実的な温度の映像なので痛みや感情に対しての尖りがとても伝わってきてその点も良かった。

キャスト4.4
ストーリー4.0
プロット3.8
バイブス4.1
演出4.2
音楽3.6
映像3.9
全体4.2
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