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イノセンツのTODAYのレビュー・感想・評価

イノセンツ(2021年製作の映画)
3.8
"イノセンツ" を観た。個人的に原作・着想元が漫画の作品はあまり観ない様にしているが(実写・アニメ問わず)今作に関してはあの "童夢" が根本にあると言うことで大友克洋氏の作品が大好きな私としては食指が動かないはずはなかった。タイトル通り "無邪気な" 範疇の中で、様々な危険性をはらんだスレスレの "遊び" を見つけてしまう子供達の物語。全編を通して物語の舞台が郊外のニュータウン的な環境であり、実際に人格形成期を同様の場所で過ごした私としては、既視感を覚える要素が多くあった。そもそもニュータウンと言う場所はある程度の困窮や経済的弱者も全て同様に公平に暮らせる様にデザインされている様に感じるが(それでも区画ごとに差はあるが)そう言った枠組みですらも当てはまらない悲しい個(と呼ばざるをえない)が合理性の網目からこぼれ落ちる。合理性と快適性を求めて設計されたコミュニティのその存在理由や、人間性を上回る立ち位置の "社会的システム" に、心地のいい虚無感を感じざるを得ない。現代社会が "設計" したある特定の世代以降の、受けるべき(だった)愛に関する物語。
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