かめの

海炭市叙景のかめののレビュー・感想・評価

海炭市叙景(2010年製作の映画)
4.5

観ていて楽しい、笑える映画って終わってみると「あれ?あんなに笑ってたけど、大した内容じゃなかったな」とふと我にかえる時がある。それはそれで刹那的な面白さがあるけど、本作には真反対の魅力が詰まっている。観ている時は笑えもせず、苦しくて呼吸を忘れる瞬間すらあるが、最後エンドロールを見ながらしみじみ素晴らしかったと感じた。切り取られた幾つもの人生をゆっくりと反芻すると、改めて胸が締め付けられる。

しかし、昔は子供にも妻にも相手にされない中年男性を見ると悲しくなって同情したものだけど、今は冷めた気持ちで見てしまう。何故こうなるまでに自分から現状を変えようとしなかった?老いの寂しさから、気まぐれにかまってちゃんになってるだけでしょ?なんてことを思ってしまう。私もそんな歳になってしまったということか。

最後は少し間延びしていて、兄と妹が子供時代に戻るシーンまでが作品として保たれている印象。
かめの

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