カレーをたべるしばいぬ

死刑にいたる病のカレーをたべるしばいぬのネタバレレビュー・内容・結末

死刑にいたる病(2022年製作の映画)
2.7

このレビューはネタバレを含みます

アマプラで初鑑賞。
公開当初から、インパクト抜群な阿部サダヲのキービジュアルに期待を寄せていた本作。予告を見る限り、羊たちの沈黙ライクなシリアルキラーサスペンスかな~と思っていて、概ねその通りでした。

■高級な見た目に反して
文学的と言うのでしょうか、寒冷湿潤な作風がとても心地良い作品です。鬱屈とした雰囲気の中で、殺人鬼の生暖かい人当たりの良さが結露を生み出しています。ただその一方で、映画という決まった時間の中での映像化による影響か、阿部サダヲ以外のキャラクター達にどうしてもわざとらしさが露見してしまっているように感じました。物語の序中盤辺りで、全てのキャラクター出揃ってしまい、そして彼らが終盤にかけてどのように絡んでくるのかが何となく予想できてしまい、それを上回ることがありませんでした。

■殺人鬼の一本柱
弱った心にスルスルと入り込む猟奇殺人鬼という阿部サダヲの怪演が素晴らしく、その一本柱で支えられている映画という印象です。
彼の内包する性格はまさしく「死刑にいたる病」であるとは思いますが、物語中で示唆される病の伝染性にはそこまで必要性を感じませんでした。オリジナルが凄過ぎて、後は紛い物ではないでしょうか。阿部サダヲ本人の演技力が高過ぎて、他の演者とのギャップが出てしまったのも要因かもしれません。

■綺麗なジャンル映画?
本作は謎に満ち溢れたサスペンスではありますが、サイコパスな殺人鬼を潔く描くことで、ある種のイロモノジャンル映画としての側面も持ち合わせているように見えます。
物語全体を通して散りばめられた伏線は量的に充分である一方で、内容自体は虐待に起因する人格の倒錯と、シリアルキラーものではかなりありきたりなテーマから特別外れることはありません。

■総評
阿部サダヲと他の演者の演技力の乖離と、然程物珍しさはない展開により、思ったより物語の奥行きがない感があります。