このレビューはネタバレを含みます
「伊香保温泉の跡取り息子」「在日三世」「弁護士」
ひとは肩書きや貼られたラベルで相手をジャッジしがちで、谷口の兄も城戸の義父も相手がどんな人で何を考えているのか理解しようともしない。谷口が宮崎で出会った里枝や職場の上司は、何処の馬の骨とも知らない谷口と正面から向き合って好いてくれた。谷口にとって宮崎で過ごした日々は初めて自分という人間として生きられた時間だったのだと思う。
悲しい結末であっても幸福な日々を過ごした谷口。城戸は?ずっともやを抱えたような彼は、いつか自分を解放して生きることができるのだろうか。