けんぼー

ウェディング・ハイのけんぼーのレビュー・感想・評価

ウェディング・ハイ(2022年製作の映画)
3.5
たくさんの強烈なキャラクターたちが絡み合う、人生で一番最低だけど最高にハイな一日のドタバタ群像劇。

私はバカリズム脚本作品が個人的に大好物で、特にドラマの『住住』や『架空OL日記』が大好きなのですが、『地獄の花園』はあんまりノレなかった感じでした。
私はバカリズム脚本作品の醍醐味はキャラクターたちの「会話」だと思うので、ド派手エンタメ寄りになった『地獄の花園』はその点の魅力が少なくなってしまった印象を持ったんですよね。

そして本作『ウェディング・ハイ』ですが、確かに私が好きなバカリズム味は『地獄の花園』よりは増していたのですが、全体的にはちょっと物足りない感じでした。

群像劇としてそれぞれのキャラクターのストーリーが「結婚式」という特別な1日で絡み合うところとか、物語序盤から貼られている「伏線」を回収していく痛快さ、「結婚式あるある」の面白さ、豪華キャスト陣など、良い点も多かったのですが、ちょっと色々盛りすぎた感じがします。

あと、オチの部分で急に笑いのIQが落ちるというか、安易な下品ネタになっているところは残念でした。しかもちょっと中途半端なんですよね。下品にするならもっとちゃんとやってほしかったな。
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、あんなことになっているのにシミ一つないのはどうなの?と。

「バカリズム脚本」とか余計なことを何も考えずに鑑賞する分には楽しめそうですが、私には素直に「超面白かった」とは言えない作品でした。

やはり個人的には『住住』『架空OL日記』的な、小さめな規模の登場人物の関係性の中で紡ぎ出される会話劇がバカリズム脚本の最大の魅力だと思います。じゃあやはり「映画」ではなく「ドラマ」向きなのかというと、そういうわけでもなく、今泉力也監督作品のように、「映画」という媒体でも十分その魅力は発揮されると思いますので、今後も期待したいです。

2022/3/14鑑賞