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さがすのtakatoのレビュー・感想・評価

さがす(2022年製作の映画)
4.1
 間違いなく良作だと思いますし、こういう作品が日本で出てきたのには目出度い事であるが、正直私には細工が少々鼻について絶望の滋味には韓国映画に比べちゃうと欠けるように思えました。カットバックや回想で時系列を下手に弄るのは、特殊な理由がない限りストーリーや感情の自然な流れが阻害されるからあんまりやらん方が良いと再認識した。

 
 色んな作品を見れば見るほど、結局作品を面白くするのは細工や飾りじゃどうにもならないという想いが日に日に強くなっていっている身としては、正道で力押しする力量にはまだまだ弱く思えた。監督さんが助監でついていたポン・ジュノにしろ、他の韓国映画の監督たちも凄い作品を作る時はそんなに策を弄してない直線な太い線の物語の底力に冷え冷えさせられて参ってしまう。


 実はこうでした…というどんでん返し的な要素があるにしても、最後の一瞬とかに集約されているからこそ胸を打つわけで、本作は少々長々と真相の開示に使い過ぎていた。その後…な展開も少々長過ぎた。


 あと、病気や障害をああいう形でドラマの動機に使うのはなぁ…。「母なる証明」みたいに見事にその辺の湿っぽさを回避している作品は見事やが。トイレで二人が泣き笑いするシーンが一番良かったけど、ならその後の展開はもうちょっと違う形になるべきだったような。親子の関係も結局湿っぽい情緒という常識的なあり方に回収されてしまったかな。


 それにしても、こういう作品は批評的にも興行的にも日本でもアメリカでもなく韓国こそ相応しいのは羨ましいような切ないような。
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