風の旅人

からかい上手の高木さんの風の旅人のレビュー・感想・評価

からかい上手の高木さん(2022年製作の映画)
4.5
どこにでもある何でもない日常は、実は二度と戻らない奇跡のような時間だった。
我々は日常がどこまでも続いていくと思っているから、それを気にも留めないけれど、そこには常に「終わり」の気配が漂っている。
究極的に言えば、それは「死」だ。
そこまで行かなくても、学校の卒業と共に仲の良い友達同士が離れ離れになるかもしれなかったり、飼おうと思っていた野良猫が別の人に拾われたりと、人と人(猫)の出会いには常に別れが付き纏う。
しかし「終わり」は決してネガティブなだけのものではなく、「終わり」があるからこそ続いていくことがこんなにも愛おしくて美しいと感じられる。
何十年経っても、あの時のことは忘れない。
そんなかけがえのない日常を送る西片と高木さんが終始羨ましかった。

p.s.
小豆島の名産のoliveの文字を並べ替えると、「I love」になる。
初恋の物語に相応しいアナグラムだ。
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