ふみ

パワー・オブ・ザ・ドッグのふみのレビュー・感想・評価

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)
3.7
※後半ネタバレあり
1920年代、現代と西部劇時代の狭間。
牧場を経営する兄弟。兄はイェール大を出ており体格も良くバンジョーも弾きこなす正にエリートだが、女性やインディアンに対し侮辱、差別的な態度を取る。
対して弟は大学に入れずオドオドした性格のため兄に頭が上がらない状態だが、なんやかんやで宿屋の未亡人と結婚し、牧場で兄と同居し地獄の同居生活が幕を開ける。
未亡人の息子は医学を学んでいて、夏休みだけ牧場に帰省することで更なる地獄が、、、

ストーリーは至ってシンプルなのですが、とにかくセリフが少なく、なおかつ含みが多いです。細かい演技と小道具で何となく分かるような気がする程度。コディ・スミット=マクフィー演じる息子のピーターが何考えてるのか、ボーッと見てると本当に分からない。しかし最後まで見ると何となくですが、それまでの行動一つ一つの意味が分かるような気がして、ゾッとします。

集中して見ないとすぐ眠くなりますが、ピアノの練習と本番、ウサギ、湖のシーンは記憶にこびりつくと思います。





※ネタバレ
フィルはゲイに加えて依存体質だったのではないかと思います。弟と同じ寝室で寝たり、弟の結婚に怒っていたのは、金目当ての女に対してだけでなく、それまで共に居た弟を取られたことにもあると思いました。ピーターに対しての態度の変化は、宿屋でのシーンはヒョロガリを馬鹿にしていただけで、牧場に来てからは嫁の孤立と中性的な容姿への恋愛感情が表裏一体だったのではと思います。ただそのトリガーがなぜ湖のシーンなのは、まだ分からないです。

ピーターも依存体質で母親を守る為に計略を練っていたのではないかと思います。恐らく前の父親も自殺に見せ掛けてピーターが殺したのではないかと。目的の為に非道な手段を厭わないサイコパス。ラストの両親を見ながらの微笑みは、安心感なのか、次のターゲットはジョージという暗示なのか。ゾッとしました。
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