映画は一般的に本筋となるストーリーの他にサブストーリーを同時に進行させて展開する。ランタイムが長い作品やテレビシリーズになるとサブの本数が増える。もちろんそうする理由は、保たせられないからだ。
しかしこの作品は違う。勉強熱心な女子大生が思いの外、妊娠。なんとかせねばと右往左往——それだけ。ふつうならこれで100分も保たないように思うのだけど、それがどっこい! なのだ。
これはいちばんには演出が優れているのだと思う。あと脚本と、主演女優の演技も。最後までずっと主人公の気分になってハラハラが止まなかった。男性の私でもそうなのだから、女性はもっと心に響くものがあるのかもしれない。
10代で妊婦になってしまった少女が密かにトイレで出産して赤ちゃんをゴミのように捨ててしまい、警察に捕まるという事件はよくニュースになる。そのときは痛ましいと思っても、実感としてはあまり湧かない。
それがこの映画では肌で感じられるのだ。私はこの映画を性教育の授業で生徒たちに見せるようにしてはどうかと思う。R15+なので中学校ではむずかしいかもしれないが、高校なら可能なはず。
もちろん大人でも避妊は重要。女性はもちろん特に男性に観てほしいと思う。私は下手な戦争映画よりも命の大切さを痛感させられた。
[オリジナル音声+日本語字幕]2023/10/18 WOWOWシネマ(09/05録画)