理由も経緯も明かされない超能力を備えたチョン・ジョンソは、12年間を精神病院で過ごして成人年齢に達した今も社会性が欠けた子供のままだ。この無敵のキャラクターが、病院を脱出して猥雑な街で暮らしていく。成長物語とすれば収まりがいいところだが、彼女は変わりはしない。むしろ彼女は変わらないまま周りを掻き回してドラマを生み出す。そういった意味では、続編が企画されてもおかしくはないだろう。主役のチョン・ジョンソはもちろん、ケイド・ハドソンも、子役も、黒人警官、ストリップ劇場のフロントマンも、DJファズも、みな顔が雄弁だ。ニューオリンズの猥雑な描写も出色。絵を描くこと、また、子供がストーリーを担うところは、アミリプール（アミーリポアー？）の前作『マッドタウン』と共通している。
