すなぎも

土を喰らう十二ヵ月のすなぎものレビュー・感想・評価

土を喰らう十二ヵ月(2022年製作の映画)
5.0
映画館で観て良かった、と心から思った。
たまたま本屋で「土を喰らう十二ヶ月の台所」を手に取り、映画のテーマも興味深いし料理の監修は土井善晴先生、そして主演が沢田研二ということでこれは観に行こう、と思い立った。でも映画の内容的には山奥の日常生活を丁寧に描く、という雰囲気だし、わざわざ映画館で観ないでDVDまで待つかと少し迷ったのだが、本当に映画館で観て良かった。

土とともに生きるということ、死ぬということが、1年間の季節とともにゆっくりと映される。
沢田研二がすごく良い。冒頭は、松たか子の演技の間とあまり噛み合っていない?と思ったが、観終えた後には、そのほんのちょっとの違和感も計算された演出のように思える。
沢田研二が、土に触れ、人と交わり、死を目の当たりにして、そしてただ毎日ご飯を食べる、その日々の繰り返しがじんわり心に沁みる。感動や悲しみを押し付けてくるような映画ではないのだが、途中何度も泣きそうになってしまった。

主題歌も良い。てっきりこの映画のために作ったのかと思っていたが、96年リリースのアルバム曲のリマスター版とのこと。主題歌の打診をされた沢田研二自身が、この映画に合うのではと提案したらしい。本当によく合っている。
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