はるな

ベルファストのはるなのレビュー・感想・評価

ベルファスト(2021年製作の映画)
5.0
まさかケネス・ブラナーがこんな暖か映画を撮るとはな!

思わず泣いてしまいました。人は誰しも生きていくうちに何かしらのコミュニティに属している。それは家族であったり学校であったり友だち、恋人、親戚、あるいは宗教や地域。あんなに愛していたのに、否応の無い現実が別れを迫ってくる。ある者は勇気を持って旅に出て、またある者は同じ勇気を持って送り出し、留まる。2つの道は良い道と悪い道などではなく、選択の違いがそこにあるだけなのだから。
この映画を観て思い出すのは久しく会っていない友人達のことです。時間に迫られ別々の道を行きましたが、留まった人も旅だった人も、恨む必要が無いと分かると心が軽くなったような気がしました。人生にはただ別れが存在して、時間は不可逆で死は避けられない。“さよならだけが人生”なんだと確かに実感しました。
白黒の映像が物語に普遍性を与えています。これは、かつて北アイルランドで起こった自伝的エピソードでありながら、誰の人生にも流れる時間の物語なのだ。
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