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ベルファストのminamoのレビュー・感想・評価

ベルファスト(2021年製作の映画)
3.0
序盤
映像はカラーからモノクロに変わり、それでも映画館で上映される映画の世界には色があり、現実はモノクロ。
この逆転の演出は、形そのまま『リアルには希望が見いだせない』時代背景を含んでるのかなと思いました。

物語冒頭、北アイルランドのベルファストで暴動が始まった途端、家から飛び出し我が子を助け、ゴミ箱の蓋で防御する母の姿は、さながらワルキューレのようで、この時代は家を守る女性もまた力強さを感じさせる。

BGMは小粋で小洒落ているのに、ストーリーはどこか重苦しく話す未来には明るさの微塵もない。
その中で少年の祖父母は、彼を励まし元気づけギスギスしておらず明るさを忘れない。

これはこれよりも前に経験してきた『もっときつく暗い時間』を過ごしてきたからなのか、それとも先がある者たちへ絶望するなと言いたいのか。

雰囲気はリトル・ダンサーに似ていて、内容は全く違うけれど、どことなく父親世代の男性にそれを感じさせる何かがあるのは、イングランドが関わる話だからなのかな?

バディが父親の提案にすべてが嫌だと泣き叫んだシーン、あれこそが彼の本心であり宗教間の暴動よりも、不安や恐怖に感じていたことではなかったのかと思う。

そういえば、偶然にも先日見たイニシェリン島の精霊も舞台はアイルランドでした。

何かに呼ばれてる?(笑)
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