Carly

世界で一番美しい少年のCarlyのレビュー・感想・評価

世界で一番美しい少年(2021年製作の映画)
3.7
オンライン試写会にて。彼の表情、ふとした瞬間に見せるそれがやはり美しいと思わずにいられない。ほんの少し見ただけのわたしでこれなのだから、当時ベニスに死すを観た人々の熱狂はおおよそ想像がつく。アクターと言うよりはやはりアイドルと言った立ち位置だったのだろうか。少なくとも日本における彼の存在はそういったものだったように思えた。
世間知らずでまだ世界を知らない、そんな少年と青年の狭間にいたような彼を自分たちの欲の充足の為に搾取した大人たちのなんと下卑たことか。浅ましく汚ならしいものにまみれて彼は自身を見失ったのかもしれない。今もなお消せない傷跡として残るそれが、酷くてやりきれない。go,stop,turn around,smile-たった四つの指示だけを与えた監督。まるで使い捨てみたいに彼を扱った罪は重い。

ビョルンが帝国ホテルの部屋番号まで覚えてることが嬉しかった。池田理代子さんも言っていたように、彼は美しいと、そんな風に思ってしまうことが彼を追い詰めてしまったのかもしれない。何だか終始やりきれない想いでいっぱいだった。
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