Finn

帰らない日曜日のFinnのレビュー・感想・評価

帰らない日曜日(2021年製作の映画)
3.4
イギリスとアイルランドで祝われる"Mothering Sunday(母の日)"に起きた出来事を、当時お屋敷でメイドとして働く孤児だったジェーンが回想するストーリー。
ブッカー賞を受賞した同名小説が原作。

絵画のような美しい映像で、作品全体を通して芸術作品を鑑賞しているような気分になった。
メイドと名家の跡取りとのロマンスかと思いきや、孤児だった主人公が身一つで自立していくストーリーがメインだし、戦争と喪失が重要なポイントで、色んな意味で想像を裏切られた作品でした。

メイド時代と現在と現在の少し前が唐突に行ったり来たりする演出なので、それを理解するのに少し戸惑ったかも。

キャスト陣がとても豪華!
オリヴィア・コールマンにコリン・ファース、ジョシュ・オコナー、そして今話題のドラマ「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」で一躍有名になったエマ・ダーシーも。
最近コリン・ファースが年相応の役をやるようになって、渋さと演技力に磨きが掛かってて素敵。

孤児である主人公に対しての「最初から全て奪われて失うものがないのは幸運」という言葉、めちゃくちゃ残酷なんだけど、母親として全てを奪われてしまった彼女の辛さがよく表れていて嫌な感じはしなかった。
オリヴィア・コールマンのお芝居と凄みに震えた…。

好き嫌いが分かれそうではあるけど、静かに沁みてくるタイプの作品で、観て損はないと思いました。
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