えり

ちょっと思い出しただけのえりのレビュー・感想・評価

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)
4.5
もう二度とあの愛おしい日々が戻って来ない事に絶望感を抱きそうになるけど、今は今で幸せだからいいの。別によりを戻すとかじゃないんですよね、「ちょっと思い出しただけ」で。


繰り返される7月26日は進む事なく時間を遡っていく。例えるなら花束みたいな恋をしたメメント。次第に明らかになっていく登場人物の過去。繋ぎ合わせながら観るのが楽しい。

たくさんの時間を過ごす中で、彼や彼女の記憶が色んなモノや概念に結びついていく。私はイチゴのショートケーキで思い出してしまった。誰もが経験する普遍的なストーリーだからこそ刺さるんだろう。観る人によってはかなり残酷な内容かもしれない。でも人生ってそれの連続で、本人の意思とは関係なく記憶は呼び起こされる。まあ人生長いんだし、たまにはケーキ食べながらゆっくり思い出すのもいいかもしれない。

キャスティングも本当面白くて池松さん伊藤さいりちゃんはもちろん、芸人の屋敷さんがいい味出してたし、大関れいかってあのVineでJKあるあるとかやってた面白い子?!あんなに歌上手だったのか!と驚きを隠しきれない。尾崎さんの醸し出すエモさが全編通して素晴らしくこの映画にマッチしていた。というよりむしろこの映画クリープハイプのMVかな?というくらい彼らの世界観を広げた先にこの映画が存在している感じ。それくらい劇中音楽素晴らしかった。

邦画を久々に見たけど、本当に良すぎた。ラストの、7月27日になろうとしている空を見つめるそれぞれのベランダ越しのカットがかなり好きだった。

追記(汗):前情報無しで鑑賞したので知らなかったのですが、この監督はクリープハイプのMVをいくつも手掛けた監督だそうで、新曲のナイトオンザアースを受けて監督が製作したモノだそうです。どうりでクリープハイプのMVみたいだと思った!笑 そして花束みたいと例えてしまったけど、監督、「きっと花束みたいとか色々言われるんだろうな。」とすでに言及していて笑ってしまいました。笑
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