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箱 -The Box-
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『箱 -The Box-』に投稿された感想・評価

[] 60点

陰影のハッキリしたモノクロ画面の中で無機質な立方体が一定のリズムで転がっている様はただのホラーなんだが、自然と文明の融和というテーマの延長線上に超常現象がある感じで、特に違和感なく存在するのが凄い。ドア開けたら箱が転がりながら入ってきて、"今日はどこにいたんだ?"と生みの親である老人が声を掛けるシーンは、観たら死ぬタイプの呪いのビデオみたいな迫力があった。どうせならもっと黒々とさせて半端な光の反射を抑えてほしかったが。それにしても、中嶋莞爾は画面の雰囲気に反して感傷的な内容を撮る人なんだなあと。これはこれで面白いけど『はがね』の方が好き。
菩薩
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結局『はがね』と言ってる事もやってる事も変わらない気がするが抽象度は増しているしであれば絶対的な「廃墟」を有する『はがね』の方が圧倒的に面白いと感じてしまう。何やらブラックボックスが世間を騒がしている時に暗い箱がコロコロ転がる映画を観てしまうのもなんの因果か…。本来文明と自然とは対立し合うべきものでなく、人間自身もそのどちらとも歪み合うべきでは無いと、かなり平和的な思想を感じるのは私だけなのだろうか。またもや老人は静かに姿を消し、希望は次の世代へと引き継がれていく。にしてもいい空を撮るしこの侘しさはなんだ。
「クローンは故郷をめざす」(2008)の中嶋莞爾監督の第二作。第一作「はがね」(1994)と対を成すモノクロ幻想SF。

近未来の穏やかな田舎。老いた科学者は小さな研究所で黒い“箱”を作り育てていた。“箱”は毎日、古い線路を転がりながら村を徘徊して過ごしていた。ある日、箱が帰らず科学者は少年と少女に見かけなかったか尋ねるが二人は知らなかった。やがて村はずれで、孤独な青年が壊れた箱を発見し埋葬する。するとそこから金属の樹が育ち始め。。。

監督の前作「はがね」はベスト級に好みだった。本作も主題は同じく“文明と自然”だが、廃工場の類いは登場せず、代わりに自転する黒い“箱”が主役となる。映像も随分と異なり、サイレント時代の劣化フィルムを思わせる白とばしのモノクロ画面は、線路や鉄の樹など直線的な被写体と相まって表現主義映画のよう。結果、虚構性と寓話性を高めていた。

前作以上に監督のクリエイティビティが発揮され独創的な作品として仕上がっていた。監督自身も「完成度が上がった」と自負しているのにも納得。ただし個人的な好みで言えば、前作のセンチメンタルな語り口の方に強く魅かれている。

ジャンルとしてはアート映画に入ると思われるが、プロットはハッキリしていて難解すぎることは無い。転がる箱や鉄の樹、造花に欠かさず水をやる女性など、面白いアイディアが盛り込まれた世界を印象的な映像で描いている。1960年代アヴァンギャルドをアップデートさせたような一本。