萩原くわがた

麻希のいる世界の萩原くわがたのレビュー・感想・評価

麻希のいる世界(2022年製作の映画)
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高校生でありながら重病を負い、生きることに諦めを持つユキの目の前に自由すぎる同級生のマキが現れる。
初めはマキに憧れるユキの百合チックなティーン映画かと思いきや、次第にその熱は信仰と化し物語は青春から神話へと変貌する。「自由」と「憧れ」の美しさとグロテスクさを随所で見せる衝撃的な展開は、2人の18歳の少女にはあまりにも重いのでは…と思いきや凄まじい熱量を帯びた演技で背負いきる。邪悪なまでに現実的で神秘的に美しい映画だった。ユキ役の新谷ゆづみ氏の繊細な目の演技とマキ役の日高麻鈴の乾いた中に時折見せる熱のある表情は若くしながら強烈な役者霊の閃光を浴びせてくる。向井秀徳氏提供の楽曲も深層部まで作品に根を張っている。非常に良い作品だった。