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わたし達はおとなのdarumaのレビュー・感想・評価

わたし達はおとな(2022年製作の映画)
4.0
大好きな加藤拓也脚本、長編初監督作品、ようやく観れました…!
うわーこれは…(ヘビーね…)まさに「ノットヒロイン」ムービーズ。
私はドラマ「平成物語」で加藤さんが好きになったのですが、途中まではその感じで行くのかな?と思ったら、まさに裏でした。
これまた嫌ミス系というか…(ミステリーではないが)
多分、好き嫌いがはっきり分かれるタイプの作品だと思います。

もしかすると、加藤さんは物凄く古風な方なのではないだろうか。
(凄くお若いんですが…まだ29歳です)
いわゆる「男尊女卑」を炙り出しているような作品で、それをちゃんと逆手にもとっているんですが(御自身に自覚があるって事ですよね)、家族模様を入れるあたりが何となく昔の邦画を想わせる。観た事無いのですが東京物語とか…。

彼が「(彼女は)産んだら幸せ、産みたい」と思い込んでいるところが恐ろしい。
と私は思ってしまったのだけれど(まあそれにも理由はあるんですが)、
彼女は実際はどうだったんだろう…
(何となく、はっきりしていなかった気がします)
普通、発覚した時点で絶望しませんか?
私だったらすると思う。
人生棒に振った…的な。
子どもが好きならそうでもないのかな?

でも、その「はっきりしなさ」がまるっと彼女の気持ちなのだと思う。
産みたいけど、産みたくない。
いや?逆かな?
産みたくないけど、産みたい。(この方がしっくりくる)
そういうのがめちゃめちゃうまい。
そういう所が嫌ミスっぽい。
(観てる方は気分が良いものではないが…突きつけられる系)

彼の作品はなんだかんだ言って、ドラマより舞台を観ているので(劇作家さんというか演出家、舞台がメインで活躍されている方です)、それとの対比が何となく感じられた。
まず、画角。冒頭がいわゆる正方形だったので(テレビで観たので余計わかりました。右上に放送局のロゴが出るので)、古い感じの作りなのかな…?と思ったら、頻繁に変わります。最初は過去が正方形で現在が16:9に分かれてる?と思ったのですが、途中から違ったような…意味があったと思うのだけれど、はっきりとはわかりませんでした。

次に、時系列。舞台で過去と現在を入り乱れさせようとすると結構手間だと思うのですが(場面転換でセット自体を変えたりしないといけない?変えなくとも、少なくとも「今がどちらか」をわかるようにしないといけない)、映像はそれが簡単にスイッチできるので、結構楽しんでるな、と思いながら観てました(違ったらすみません!あくまでも想像です)

でも雰囲気は舞台っぽいので(ラストが特に)、映像を意識してる感じの作品ではないかもしれません、内容として。

そのラスト、食事で終わるところが、いかにも…と思いました。
女性の食事で終わる。
食事を作る人。
これが冒頭に書いた男尊女卑にもつながるというか。
食べる女。
作ることは補助的な意味(これは人によって違うと思うが、私はそう連想しました。主婦目線かも。でもノットヒロインムービーズだし、女性向けであることは間違いないと思う)、食べることは生命を維持するという意味でも主体的。

どっちが悪いとかはない。
(私は彼の気持ちはよく理解できた。異性だけど)
というか、むしろ、悪い人しか出てこない。
けど、そういう意味で現実的。

藤原季節くんはこれは当たりの役ではないと思うが(苦笑。どちらかというと、クズ、ですよね、笑)、うますぎるし合ってた。私が観に行った加藤拓也さんの舞台も藤原季節くんが主演でした。ほかにも舞台でお見掛けした方がたくさん…山脇辰哉さん、平原テツさん。山崎紘菜さんは平成物語2のヒロインでした。加藤さん、自陣で布陣固めてます。

木竜麻生さんもめちゃくちゃよかったです。「菊とギロチン」の印象が強い彼女、あとドラマ「まどろみバーメイド」を少し観ています。芯のある役?でもない役?みたいなイメージ通りのキャラクターを見事に演じていたと思います。

でも一番ビックリしたのは桜田通くん!(どういう繋がりが…?凄い役だった。ちょっと笑った)

もやもやが嫌いな人には向かないと思う。
けれど、リアルが好きな人にはおすすめ。
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