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わたし達はおとなのBusceoのレビュー・感想・評価

わたし達はおとな(2022年製作の映画)
3.9
ストーリー自体はブルーバレンタインメソッドに忠実な出会いと別れを時系列ミックスで見せるという老人には1mmも興味が沸かない話なんだけど、やはりその解像度のエグさがヤバい。昔テレビのデジタル放送が開始されたとき、政治に興味ないのに肌の質感のクリアさに思わずNHKの国会中継でオッサンのハゲアタマのテカリに見入ってしまったあの感覚に近いのかもしれない。

体調を気遣いつつも座ったまま体温計取ろうとして結局取れなかったり、体調悪いのに朝ごはんの準備する優実を見つつも絶対「自分でやるよ」とは言わない藤原シーズンでそれぞれの性格と関係性を説明しきっちゃうオープニングの数十秒の鋭さ。

絶妙に感情移入や共感を阻む登場人物たちの会話の内容、自然さの撮り方もさすが。

世の中には沢山「◯◯嫌悪」という言葉があるが、もし「大学生嫌悪」という言葉があってそれを具体化したらこの映画になるのではないだろうか…。なんかもう柳原可奈子がやってたネタみたいですらある。ほんとイヤな感じ解像度が高すぎて、この監督どういう風に世界を見てんだろうかと心配になってしまう。

「俺、おまえのこと考えてるし尊重するよ?」と言いつつもいざとなると自己中心的に責任回避して「おまえが悪いんだよ?なに、俺が悪いの?じゃあちゃんと言いなよ」みたいな空気を出す藤原季節の絶妙さはもちろんのこと、木竜麻生さんのおぼこさも良かったが、仲良くしててもどこか根底に信頼しきれなそうな感じを残す森田想さんの存在感がやっぱ好きなんよねえ。
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