ベルベー

機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島のベルベーのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

「水星の魔女」とセットで観ると深い。戦争はいかに人殺しを常態化させてしまうか。敵も味方も容赦などしない。平然と相手を撃墜する。それでも、生身の敵を殺す時にアムロが見せる苦悶の表情。戦争の平然は本来平然ではない。その辺り、スレッタとの比較にもなってるよね。

そんな戦争という特殊な状況下において軍を裏切り、島と孤児をひたすら守ったククルス・ドアン。行為だけ紹介したらカッコいいけど…正直、良いことをしたのかもしれないが、褒められた人間ではない気がした。元々人殺しだろとか言い出すつもりはないんだけど、孤児たちに聖人と崇められることに酔ってなかったと言い切れるのか?という疑念が残るからだ。子供たちから信頼されるようになったアムロを見て機嫌悪くなるもんドアン。

アムロにザクを沈められることによって、ドアンは初めて心から子供たちと一緒に暮らせるようになる。勿論兵器もない中で攻められたら…という不安は残るが、それでも「平然と」生きる為には、ザクがあってはならなかったのだ。深い。

MS対決の作画がカッコよかったり、古谷徹や古川登志夫をはじめとするオリジナルキャストの若々しい声に仰天したり、成田剣や山崎たくみのオリジナルへの寄せ具合に仰天したりしたけど、やっぱり武内俊輔のドアンが凄かった。40代後半のオッサン声優の熱演にしか聞こえなかったもん。1エピソードを映画にするための改変とはいえ、ドアンの元部下たちがめちゃくちゃ浮いてたのは惜しい。
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