symax

レイジング・ファイアのsymaxのレビュー・感想・評価

レイジング・ファイア(2021年製作の映画)
3.8
"ありがとう、ベニー・チャン…そして、さようなら…"

何年も追い続けてきた凶悪犯ウォンとベトナムマフィアとの麻薬取引の情報を掴むチョン警部…組織を一網打尽にするべく、出動する直前にチョン警部のチームだけ除け者に…有力者の子息が起こした暴行事件をもみ消すように言われながら、持ち前の正義感からそれを断り、その報復として捜査を外されたのだ…

チョン警部無しで逮捕に向かう警官隊の前に現れたのは、鉄仮面のマスクを被った謎の一団…組織の人間だけでなく、警官隊にも多大な犠牲を払わせ、まんまと麻薬を奪う…

殉職した仲間の為、必死の捜査を継続した結果、浮かび上がったのは…元エリート警察官で、チョン警部の後輩でもあったンゴウ…正義を貫く男と正義に裏切られた男…二人の怒りの炎が激突する…

いや、凄い凄い凄い凄い…流石、ドニー・イェン先生…
凄まじいアクションの連続に圧倒されっぱなしでした。

正直、そんなに期待していなかったのですが、もの凄い事になってました。

"ヒート"ばりの市街地での銃撃戦、そんな無茶な的カースタント、1対1から〜1対何人なの的肉弾戦…アクション・シークエンスの一つ一つが物凄く計算された上のレベルの高さ…

香港が中国に返還されて以降、徐々にその熱量が失われているようだった香港映画…本当久々に"あの頃"の香港映画の熱を持った傑作だと思います。

もうね、アクション凄すぎてどこがどうなんて言えないんですが、特にバイクvs車のスタントは無茶苦茶ですよ…アレで子供救っちゃうんですから…ちょっと、座席からお尻浮いちゃいました私…

今回のドニー先生は、警官の鑑というか、馬鹿が付く程正義感に熱い男で、ちょっと面白みの無い役と言えばそうなんですが、一方のニコラス・ツェー演じるもう一人の主役ンゴウが、その言いにくい名前と共に中々複雑なキャラで、元は二人共正義感に溢れた警察官であったものの、ほんのちょっとの偶然でその立場が百八十度変わってしまうのです。

哀しさの陰に狂気が見え隠れするニコラス・ツェーの濃厚な演技が本作に更なる深みを与えています。

ラストのタイマンの素晴らしさ…善よりも悪に惹かれる程、ニコラス・ツェーの色気は濃厚でした。

…そう言えば、今年の劇場一本目は、"燃えよデブゴン"でした、年始にドニー先生から始まって年末もドニー先生という…
symax

symax