Elie

レイジング・ファイアのElieのネタバレレビュー・内容・結末

レイジング・ファイア(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

公開を心待ちにしていた作品です。原語での予告編を一度だけ見て、すごく期待値が上がりました。だって「新少林寺」の闇堕ちニコツェのお芝居にすごくぞくぞくしたし、ドニーさんとの共演を私が見るのは「かちこみ!ドラゴンタイガーゲート」以来だし、谷垣さんがアクションを作っているし、今まで見てきたベニー・チャン監督の映画は面白いものばかりだったし、ねぇ!

本作でいいなと思ったところは、白黒のあいだの灰色の倫理観に踏み込んでいるところと、ボンさんの妻子が無事なところ、ヤムヤム(出演しているのを知らなかったのでうふふって思いましたウフフ!)がボンさんの誠実な返答に対して猶予をくれるところ、街中でのガンアクションで市井の民が巻き添えを食うところ、ニコツェが指無し手袋とか濡れたように輝く黒髪とか薄い色のサングラスで目の表情が見えるか見えないかうっすらしている厨二心をくすぐるファッションで取調室に放り込まれて余裕綽々「俺もちょっと前は取り調べる側にいて同じ台詞吐いてたわ」っていうところ、徹底的に闇堕ちキャラなのに逆の立場であ・またはあったかもしれない自分を認識できているところ………いいなと思うところ数しれずですわ。あと例に漏れず、本作のユー・カンさんもたいへんよかった………最後の最後でめちゃくちゃ可愛い弟感をブワッと出してきましたよね。でもここぞってときに兄貴の背中を押してくれる頼もしさがあって、どっちがお兄ちゃんなの。すごくいい。ンゴウ兄貴とのほのぼのスピンオフが見たいです。

ドニーさんはね、彼のフィルモグラフィ中のマーさんというマーさんを煮詰めて、SPLを挿し色にしたみたいな、そんな印象を受けました。あとやっぱり香港映画ってアクション中のカメラワークが理路整然としているかもしれないなと感じます。disるつもりはないんですけど、他のアクション作品って、とりあえずいっぱい動きました!あるいは動きが見えるように配慮され過ぎて緩慢な印象を受けてしまうのですけど、めちゃくちゃ入り乱れているのに何が起きているかわかるっていうところですごく夢中になるのです。谷垣さんが作っているからなのかしら。

あとかなり錚々たる役者陣だったと思うんですよね。なかなか顔と名前と作品が一致しないマンなので御免なさいなのですが、スラムに潜んでいたボスも、ポッケにUSB入れてやられちゃったおじさんも、どこかで見て知っている。レイ・ロイさんはレイ・ロイさんだってわかりました。

そうそうラストバトルのときにね、ンゴウちゃんがバタフライナイフの二刀流するじゃないですか。あれでチャッカチャッカやるの、サイコの西園テトラを思い出して、めっちゃ厨二〜〜〜って思ってしまいました。リアルで見るとあんな感じなんだなぁって。本作における闇堕ちニコツェの造形が完璧で最高峰ですたぶん。
Elie

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