このレビューはネタバレを含みます
高齢者向け売春クラブというのはどんなものかと好奇心もあって鑑賞。
わりと冒頭から早速それっぽいのが流れて何を見せられてるのかと戸惑ったけど、行為は若い人たちだけではなく、幾つになっても人肌恋しいものなのだなと思った。
若い人相手と違って、お互い歳を重ねた同士の行為は寂しさや孤独を理解してあげる慈善事業のように映る。ただしグレーゾーンの業態は人目を憚り、スタッフの私情を含め常に仄暗さは拭えない。事業主であるマナは幼少からの寂しさを明るさに変えているが、どこか少し空っぽで危うさを感じた。
万引き未遂でスカウトした女性に理想の母親像を重ねるが、ぽつりと覗いた人の業や寂しさが彼女を簡単に裏切る。
築いてきたもの(家族のようなコミュニティ)が摘発によって脆く解体した後、聴取されているマナがどんどん小さく幼くなっていき、居場所が一番欲しかったのはマナだったのだと気付く、なんとも寂しいラスト。
実際の事件をもとに作られた映画なので美化している部分が多いかもしれないけれど、もしかしたらこれによって救われる人たちもたくさん居るのかもと思ってしまった。
やがて高齢者になる自分も、伴侶を亡くした時、どうやって寂しさを埋められるかなと、考えされられる映画だった。