周囲から馬鹿にされている中年男性がひょんなきっかけで異世界へと行きそこでヒーローになるというまあよくあるタイプの映画。そもそも現在主流のゲームの面白さというのもどこか現実とは違う世界を体験したいという欲求が根本にあるわけで、ゲームを映画にした作品がそのようなシナリオを用いることは非常に正しい方向性だと思う。
イルミネーションの映画をまともに見たことはないのでうかつなことは言えないがクレイアニメみたいな質感のアニメーションが世界観をうまく作っていて特に最初の劇中CMの場面は絵的にも面白いと感じた。
この映画の内容に対してストーリーやテーマなどを云々するというのははっきり野暮であるような気もするが、やっぱり気になってしまうのはラストの戦いでブルックリンに戻ってくるところ。戦場がブルックリンになることでマリオはスーパーパワーでクッパを倒し異世界を救うのと同時にブルックリンを救い、彼を軽んじていた周囲の人間からの承認を獲得する。でもそれは本当は現実の生活でマリオが立ち向かうべき問題を何も解決しないままに異世界での物語上の成功と現実での成功を合流させることで強制的にハッピーエンドにまとめ上げているわけであり、そこに物語序盤の問題設定に対する誤魔化しを感じる気もする。
