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ダ・ヴィンチは誰に微笑むのKajiのレビュー・感想・評価

ダ・ヴィンチは誰に微笑む(2021年製作の映画)
3.3
美術品最高額をレコードしたレオナルド・ダ・ヴィンチ「サルバドール・ムンディ」をめぐるアートビジネスの悲喜交交。

 この美術品の美的なあれこれよりもいかにして美術の「値段」(価値ではなく)がこのようになったのかを辿る内容に、美術商・美術史家・オークション会社・顧客・マーケティング・果ては国家まで絡み大層な話でありました。
 取材と編集が丁寧かつ順を追っていて、オーソドックスなドキュメンタリーの仕立てですが、題材が古典なので少し歴史ミステリー的な要素も含めながら、アート界のクレイジーさが垣間見える内容。

肝は「適正価格」が存在しない業界の実態と流れを「人」が作っているという、水面下の面白さとダイナミズムだと思います。

「バイス」や「マネーショート」みたいな、裏側のドラマに刮目せよ!ってのが、劇映画じゃなくドキュメンタリーなのでわかっていく事実のざらつきがなかなかな一本でした。
愛でる以外のアートがここにあります。
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