ユースケ

ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/死霊創世紀のユースケのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

マスターズ・オブ・ゾンビことジョージ・A・ロメロの【ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド】をキング・オブ・スプラッターことトム・サヴィーニがリメイクした本作は、当時の世相を反映させてオリジナル版では役立たずだったバーバラを女戦士に覚醒させつつ、オリジナル版のプロットをしっかりなぞったリメイクのお手本のような一本。

オープニングのファーストゾンビの登場前にゾンビっぽいジジイを挟む気の利いたスカし演出からファーストゾンビVSバーバラ(パトリシア・トールマン)&ジョニー(【悪魔のいけにえ2】のチョップ・トップ役でお馴染みのビル・モーズリー)兄妹のコントみたいなバトルの流れで掴みはOK。

とにかく、オーバーアクションでゾンビをぶちのめす主人公のベンを演じた【キャンディマン】シリーズや【ファイナル・ディスティネーション】シリーズでお馴染みのトニー・トッドのエモーショナルな演技は必見。
自己中でヘタレなハゲ親父ハリー(トム・トールズ)との主導権争いが激し過ぎてテレビの取り合いはコントに見えてしまいますが、彼の熱演のおかげでオリジナル版以上にベンの行動が正しく見えて全てが裏目に出る展開が俄然盛り上がります。

更に、生き残ったベンが射殺され、ゾンビと一緒に焼却され、黒人もゾンビも同じ扱いをされる風刺と皮肉が効いたオリジナル版のラストほどではありませんが、ゾンビ化したベンが自警団に射殺され、生き残ったハリーがバーバラに射殺されるラストは、溜飲が下がるし、ゾンビよりも人間の方が邪悪だと思わせてくれる優等生なラストだと思いました。

もちろん、びんぼっちゃまゾンビ、太っちょゾンビ、車に轢かれゾンビ、赤ちゃんの人形抱きゾンビなど、トム・サヴィーニの血塗れ特殊メイクによってゾンビは質量共にグレードアップ。生気を感じさせない白濁したゾンビの眼球の表現は秀逸です。願わくば、米国映画協会によって削除された銃で頭部をぶっ飛ばすリアルな表現を復活させて頂きたかったです。

最後に、地獄のような一夜を生き抜いたバーバラがゾンビを弄ぶ人間たちを見て言い放った「私たち人間はやつらと同類なのね」のセリフはジョージ・A・ロメロが書いたもの。ゾンビの本質を捉えた素晴らしい台詞だと思いました。