たかちゃん

リコリス・ピザのたかちゃんのレビュー・感想・評価

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)
4.1
ポール・トーマス・アンダーソンの青春映画。年上の彼女と童貞少年の恋愛コメディ。しかしジョン・ヒューズのような爽やかさはなく、70年代アメリカの社会問題、流行を取り入れているところがPTAらしい。オイルショック、ウォーターベッド、そして市長選や映画監督、プロデューサーが変名、実名で登場。ジョン・ピーターズが実名で大暴れするのにはびっくり。ブラッドリー・クーパーが演じるから無問題だったようで。バーブラ・ストライサンドの名前をストライザンドじゃないぞ、とこだわるのがおかしい。そういえば、アラナ・ハイムの彼女に「ハロー、ゴージャス」と挨拶するのは、バーブラが『ファニー・ガール』の中で、鏡の中の自分に呼びかける台詞。バーブラの鼻も立派なユダヤ鼻だが、アラナ・ハイムの鼻もご立派と褒められていた。なぜかユダヤのネタが多かった。劇中の映画看板や新聞広告が『ディープ・スロート』、『死ぬのは奴らだ』、『メカニック』で、その年が分かるわけだが、70年代は洋ピンの花盛り。東京でも洋ピン専門のロードショウ劇場が東映系、東急系、松竹系にあって、その夥しい中から拾い物を見つけるのが楽しみの一つだった。日活ロマンポルノも71年に始まった。いい時代だったな、と『リコリス・ピザ』を観ながら思った。
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