滝井椎野

リコリス・ピザの滝井椎野のレビュー・感想・評価

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)
3.9
ノスタルジー溢れる青春の1コマを、のんびり緩やかに描く傑作。サントラが欲しくなる作品だった。
展開や笑いどころ等、どことなく昔のロマコメ海外ドラマを彷彿とさせる雰囲気が良い。特にエンドロール。ああいうスタイルは個人的にかなり好ましい。

登場人物たちが良くできていて、特に主役二人の歳の差が開いているからこそのすれ違いや価値観の違いが上手く描かれている。ゲイリーに限らず、アラナから男達への感情が面白い。年齢も仕事も全く違う多くの男達が出てくるが、いずれもアラナからすれば子供っぽく、その視線には呆れの感情がある。こればっかりは仕方がないもので、大人であってもなくても、女性から見れば男なんてものはいつまで経っても子供なのである。本作、いつまで経っても大人になれない男達が登場するが、そんな中でも個人的なお気に入りはブラッドリー・クーパーで、あの粋がっているが格好の付かない三枚目感が素晴らしい。

全編通して良い意味でダサい懐かしさに溢れた作品で良かった。
滝井椎野

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