スズランテープ

リコリス・ピザのスズランテープのレビュー・感想・評価

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)
3.8
言わずと知れた職人監督、ポール・トーマス・アンダーソンの全世界待望の最新作。私はポール・トーマス・アンダーソンのファンなので大きな期待を胸に観賞。

やはりPTAは一見王道めいているが、独特の雰囲気の尖り方をしている監督だなということを実感。変則的な作家性から生み出される内容を、枠組みだけの王道で描くため、見る私たちは手放しで鑑賞していては置いていかれる恐れがある。

映像センスの良さによる見せ場の作り方とノスタルジー溢れる描写の数々は愛おしい。ただPTA独特の物語が詰まってしまったような感覚を、従来の彼の作品以上に感じた瞬間もチラホラ。

そう言った事柄も二人が走り出したらどうでもよくなる。あのPTAが、『走る』というアクションに表現できぬ青春の無敵感を纏わせただけでもこの映画は優勝なのかもしれない。
スズランテープ

スズランテープ