延々と歩く

リコリス・ピザの延々と歩くのレビュー・感想・評価

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)
4.2
 何なんでしょうこの雰囲気…。率直に言って「およそ類例のない」感じ。

 「文化祭の準備がいつまでも続く作品」みたいな表現があるけどそんなの超えちゃって、「俺らはこういう世界で育ったしなんなら今も全然このノリだから」みたいな衝撃。

 オタク系動画配信者「マクガイヤーチャンネル」にゲスト出演した町山智浩さんが「監督が若い頃にみた青春恋愛映画をやりたかっただけ。ノスタルジックすぎてあまり評価できない」と語っておられたけれど、こんな作品ほかにあるんでしょうか。まあそういう事を言いたいわけじゃないんだろうけど。

 監督は「ブギーナイツ」「マグノリア」のポール・トーマス・アンダーソン。ダニエルデイルイスやらホアキン・フェニックスと組んで骨太シリアスなイメージになってたのが原点回帰、生まれ故郷にもどってつくりあげた本作が今のところ最高傑作だと思う。
 主人公は高校生のくせにウォーターベッドの通信販売に精を出すというよく分からんキャラクターで、監督自身を思わせるエネルギーというか無神経さがクッキリ現れていて印象的。アンダーソン作品を支えたフィリップ・シーモア・ホフマンは薬物乱用で2014年に死去、その息子のクーパー・アレクサンダー・ホフマンが好演している。
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