伝説的映画「ゴッドファーザー」の第3作。
シリーズで初めて公開時に劇場で観ることができた。そのせいもあってか、世の評価以上に面白く感じた。
確かに第1作のような重厚な雰囲気や圧巻のドラマはないし、第2作のような多層的な構成はないが、マイケルの苦悩や新旧世代の意識の対比などは見事に描かれていたと思いう。
弱っていくマイケルの対比はヴィンセントだが、それ以上にあの弱かったコニーがファミリーのために暗殺を指示し、自ら手を汚していく様子は衝撃だ。
当時のバチカンの金融スキャンダルをほぼそのまま取り込むというストーリーは、やや複雑だが非常に面白かった。
ただ、娘メアリーの存在にあまり意味がないというか、結局マイケルの最大の悲しみを生むためだけに登場したキャラクターだったような気がしてしまう。
そして、終盤の暗殺と復讐が、ちょっと説明調なのは気になった。
出演者の演技では、ソフィア・コッポラが酷評されているが、それでも十二分に見どころは多く、娘が殺された場面のアル・パチーノの悶絶の演技は素晴らしかったと思う。
あれこそが“死”の本当の姿で、殺した相手への怒りや復讐や自分の安全などではなく、ただ真の悲しみに落ちることをマイケルは初めて知ったのかもしれない。そして、自分の罪深さを初めて理解したんだろう。
ラストの虚しさと孤独が、それまでのマイケルの罪深さを象徴して見えた。