「ブレイキング・バッド」シリーズや「息子の面影」に続く“メキシコってマヂでヤベー💦”っていうのがイヤと言うほどわかってしまう作品。
メキシコで実際に起きた誘拐事件をベースに、犯罪組織に娘を誘拐された女性が、娘を取り戻そうとする中で誘拐ビジネスの実態を目の当たりにする。
ただ「1人娘を捜し出したい…」という母親の切なる思い、執念が、メキシコの果てしなき地獄めぐりへと足を突っ込みどこまでも深い底なしの闇へと誘われていく。それに呼応してか母親の顔付きがどんどん変わっていってしまうのがまたスゴい。
メキシコという国の底無しの無茶苦茶さと恐ろしさをとことん再認識させられる。
「息子の面影」と同様に、被写界深度を極力浅くして一点にしかフォーカスが当たらないようにし、それ以外の被写体はなるべくボカす、そんなカメラワークが非常に印象的だった。そして“事実を元にした”事を重視したのか、劇伴というものを一切排除し、環境音だけの音響演出がなされる。そしてその演出が最後の最後で非常に大きな効果を発揮する。あのラストカット、あの演出には“これぞ映画ならでは!”と、唸らされた。