Omizu

一人と四人のOmizuのレビュー・感想・評価

一人と四人(2021年製作の映画)
3.9
東京国際映画祭コンペティション部門
東京フィルメックスで3度のグランプリに輝くチベット映画の雄、ペマ・ツェテンがプロデュースをつとめたチベット映画。主演はチベット映画を代表する俳優となったジンパ。

まるでタランティーノの『ヘイトフル・エイト』のような雪の中起きる密室サスペンス。これは万人にオススメできる良作。

嘘をついているのは誰?という謎を引っ張りに引っ張り、展開力もしっかりある。テンポもよく88分に収めているという手際の良さ。

多少乱雑に感じる演出があったのと、音楽がちょっと安っぽくて残念だった部分はある。

どの登場人物にも疑問が残るという終わり方もナイス。相棒の番号まで覚えてるのおかしくない?とか、逆に上司の出身地言えるのおかしくない?とか、もしかして寝取ったのはお前なんじゃ?とか

そして何より主人公たる森林監視員も考えてみると怪しいよね。「信頼できない語り手」という形式を上手く使っていてかなりよくできている。

ジンパはやっぱりいい。男優賞狙えるんじゃないかな?基本受けの演技なんだけど、そこに生きている森林監視員にしか見えない。『轢き殺された羊』『羊飼いと風船』とジンパを観てきたけどすっかりファンになってしまった。
Omizu

Omizu