Carly

四つの壁のCarlyのレビュー・感想・評価

四つの壁(2021年製作の映画)
4.2
Tiffにて鑑賞。
今年はTiff作品をかなり絞っててぜんぜん観てないのだけど先日観たネトフリ作品Power of the dogより断然こっちのが良かった!タイトルの持つ意義を考えてみたり、遠くイスタンブールにおけるクルド人たちの現状を調べてみたりと考察に飽きない作品。YouTubeにあった監督のお話もとても面白かった。(自身の様々な体験が元になっている物語だそう)
ボランの周りを取り巻く人間模様が多彩で本当に素晴らしい。モスクを辞めてまで自身の信念を貫いた男だったり、おしゃべり好きな自称禁煙中の警察官だったり。誰もが魅力的だし、一人ひとりの人間的な側面がしっかり描かれていたのも素敵だった。彼らの音楽はとても耳馴染みが良くて心地好い音色だった。ハリウッドが"作った"んじゃない、本物の民俗音楽的な。その歌詞ひとつにも言語の壁があったそう。そんなところからもクルド人の現状を窺う事ができる。
それにしても"つがいを失った鶴"の話の回収の仕方が完璧過ぎて、この映画はどこまでも美しいと思った。最近120分越えの映画ばかりで間延びしてて辛いと感じてばかりだったけど、この映画にはそれがなかった。無駄も隙もない。素晴らしいの一言しかない。
Carly

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