一見、日本映画に見えないポスタービジュアルは主演の嵐莉菜さんの圧倒的な美しさから。
NNNドキュメントやザ・ノンフィクションにも描かれるようなクルド難民の家族がテーマの物語。フィクションなのに、ドキュメンタリー以上にこちらの胸に迫ってきて、胸が締め付けられ、くるしくなるのは、作品の力があるからこそ。
難民申請や入管問題など、今の日本に厳然と横たわっている状況なのに、つい、忘れ去られてしまいそうな問題が、主人公サーリャの日常から浮かび上がる。
小学校の先生を夢見て埼玉の高校に通い、コンビニでバイトをし、友達と普通に笑い合い、父親やきょうだいと過ごす。
その日常がかけがえのないものであることが、あとからあきらかになるのだけど。。
監督の川和田恵真さんが是枝裕和さん門下ということもあり、カメラワークや演出は、ドキュメンタリーチックであり登場人物たちの演技も実に自然だった。
物語は、主人公と家族に過酷な現実を重ねていく。
それでも。セリフと最後の彼女の瞳の強さに、小さない救いを感じたのは自分だけではないはず。
