なぜなにか

マイスモールランドのなぜなにかのレビュー・感想・評価

マイスモールランド(2022年製作の映画)
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サーリャの抱えるふたつの文化圏の仲介者とも言えるような立ち位置、ふたつの文化圏のなかで抱えるアイデンティティの悩みや葛藤といったテーマに関しては、米アカデミーの作品賞を獲得した『コーダ』のロッシと本作のサーリャの境遇にはどこか似たものを感じた。
この手のテーマを取り上げると、どこか説教くさく、どこか押し付けがましいものになりがちと感じるが、この作品にはそのきらいがなくよい。演技も序盤はともかくとして、素朴でそこにある出来事のように振る舞われているのがとてもよかった。
クルド人難民の問題は当然ながら複雑な政治的な問題をはらんでいて、この映画を観たからといって、クルド人を難民として認定しないのはおかしい!!とは安直に言えない。ただ、サーリャの父の決断を美談にしたりしてはいけないし、こういうことがないような体制を作っていく必要があるとは思う。
これは難民認定だけの話ではなく、外国人労働者を受け入れていくのかという話にも繋がっていくとおもう。
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